極私的フォーラム案内

図書館総合展フォーラム百花繚乱。その中で是非これだけは!というものを紹介したい。

11/24(水)10:30〜12:00第2会場公共図書館への公文書管理法の影響:地域住民への情報サービスにおける公文書の価値」講師:高山正也国立公文書館館長

少し難しいタイトルだが、来年4月に予定される公文書管理法の施行は公共図書館にも直接的な影響が及ぶことに危機感を感じる講師の問題定義となろう。講師はもと慶應義塾大学文学部教授で図書館情報学専攻の研究者。公文書管理法の成立にも深く関与しており、図書館と公文書館の連携実現にもっとも強い意欲を持つ。図書館の法的整備不足、MLA連携に関心を持つ方々に参加を呼びかけたい。
参加申込フォーム
https://www.timewithbooks.com/CGI/jcc_forum/form.cgi

〔講師による講演サマリー〕
日本国憲法において主権者と定められた地域の住民が主権を行使するための情報入手の社会制度として公共図書館があると図書館学の教科書は教えているが、公共図書館の中には、郷土資料としての公文書群を保有する図書館も多数ある。また新たに明年春から施行予定の公文書管理法では、その成立時に衆議院での付帯決議の中で、「一部地方公共団体において、公文書館と公立図書館との併設を行っていることを踏まえ、これを可能とするための支援を行うこと」と述べられている。これは公文書館未設置自治体の公立図書館に公文書館機能を担わせることを意味すると解釈される。公文書管理法第16条では公文書館の資料利用請求は主権者である国民の権利と看做され、公文書館は請求に応じる義務を負う。すなわち公文書の利用・閲覧は行政処分であるのに対し、図書館サービスは行政サービスにすぎない。厳しい自治体の行財政運営の中で、法で認められた蔵書の無料貸し出しサービスはともかく、利用者サービスは法解釈上は行政側の好意によるサービス提供であるから、リクエスト・サービスや複本購入、更には各種アウトリーチ・サービス等の付加的サービス等は言うまでもなく、基礎的サービスたる閲覧・貸し出しサービスにも、行政側の一方的打ち切り措置があっても利用者には法的対抗措置が無いとも言える。このような公文書館と図書館のサービスをめぐる法的ギャップに起因する諸課題を検討したい。